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「現代町家」の取り組みは、単に懐古主義の家を建てようという運動ではありません。むかしの町家に学ぶべきことを学びながら、現代の町家とはなんなのかを地域ごとに見つけ、ルール化された設計システムによってつくられるのです。
むかしの町家を町家たらしめていたのは、接道性と接隣性といわれます。道に接し、隣家に接して、隙間なくびっしりと建っています。
屋根・軒・格子を連ね、それが調和を生み、独特の美しい景観をつくり出していました。しかし、現在はそれと同じようには建てられません。道路後退や隣地境界など、今の建築法規に従わなければならないからです。
法規によって隙間や寸地が生じてしまうのが、今の家です。この半端な空地(くうち)が、家並みを崩し、不揃いな景観を生んでいます。建物はポジ(陽)で、残された空地はネガ(陰)にされてきました。現代町家は、このネガ部分に注目し、空地を部屋の一つに取り込む設計を考え出しました。
空地に木や草花を植え、そこを部屋の一部として内部化しながら、道路側にも開いて、家の前を通る人にもよき印象を与える、そんなあり方です。
工務店は、地域に残された町家因子を調査・発掘する活動を行っています。建築材料や、その土地に自生する植物も調べたりします。むかしの町家には、知恵と工夫が詰まっています。今でも通用する素敵なデザインが残されています。それを現代に蘇らせようというのです。